顧客満足経営

顧客満足経営(CSM)は顧客に提供する全てのモノに期待する品質や価値以上に応えることを指し、広義には顧客の苦情を極力減少させることを含むと解釈されます。
購入後の顧客にどの程度の満足感や幸福感があり、これらの感情がどれだけ継続するかを把握するものです。これをアンケート調査の統計処理で分析し、次回購買のモチベーションとする手法です。
特に目新しい手法ではありませんが、リピーターの固定客化が重視され始めたことで注目されるようになりました。一般に顧客離れを5%改善すれば、利益は最低25%改善されるという5:25の法則や新規顧客獲得の販売コストは既存顧客に対する販売コストの5倍を要する1:5の法則があります。
つまり、新規開拓より既存顧客の売上を増加させる方が利益を効率的に確保しやすく、固定客の満足感が継続的な利益と成長を実現する源泉になると言うことです。
市場が成熟すると需要より供給が多くなり、モノが売れなくなって価格も下落し、企業は技術革新や付加価値、信用供与などで個人消費を刺激します。
一方の消費者は豊富な情報を基に自分の価値判断で購買決定する傾向があります。多様化した消費者の価値基準に対応する顧客主導型マーケティングが望まれます。
モノの価格は消費者の購買意欲や価値基準によっても左右されます。商品の価格はワン・ツー・ワン・プライシングも可能だと言うことです。何も他店の設定価格を下回らなければならない理由はないのです。
トラブル防止のため購買客に応じたカスタマイズや十分な説明が必要です。小規模店はいかに商品を安く販売するかを考えるより、いかに満足してもらえるかを考えるべきですが、顧客満足の特性上、いざ実行となると多大な努力と労力を要します。
人の意識は「強く意識したものを記憶に残り、それ以外を忘れてしまう」と思われがちですが、「人の記憶は都合よく修正される」一面もあります。このような楽しい思い出はより美化され、怒りや苦しい思い出はより薄められるよう、無意識に脳が選択して記憶することをセレクティブメモリと言われます。
「終わりよければ、すべてよし」でなくても「満足感が強く意識されれば、すべてよし」の可能性もありますので、お買い物の満足感が継続され、思い出がより美化されるよう慎重な顧客対応が望まれます。

顧客満足の特性

  • 顧客満足度は相対的な価値基準で決定されるので、客観的な把握が困難である
  • 顧客期待度が多様化し、画一的なモノだけでは対応できず個別対策が必要である
  • 顧客満足度の維持には、継続的なモノの質的向上が不可欠である

顧客満足を得るためのヒント

サービスの本質はモノによる訴求でなく、情による訴求の方が効果が強く、持続性も高いとされます。お客様に対し、どれだけこちらの情や想いをどう感じていただけるのかがポイントです。最も簡単な具体的方法はお客様の期待を裏切ることにあります。
この裏切るとは、お客様の期待している以上のことを行動で表現することで、お客様の予想を超える行動で感動を与えるには、どのような仕掛けが必要かを考えます。
例えば、どうすれば嬉しいのか、気分がよくなり、驚くだろうかなどを気配りします。顧客満足が顧客の期待するサービスを提供するのに対し、顧客感動は期待以上のサービスを提供しますが、これは一方的なサービスの押し付けになる危険性もあります。
体験値>期待値であれば一応の顧客満足はあります。一方、体験値-期待値の落差が大きいほど、顧客満足度が高まる傾向が強くなるので、最初から期待値をむやみに高くされないようにすることもあります。
リピーターを感動させるには、更に前回以上のサービス提供が必要で、顧客感動に固執することは、サービスを際限なくエスカレートすることにもなります。このような価格やサービスの差別化は限界があります。

信を得る

真の目的は商品の価値や利用効果に加え、差別化された満足感を顧客の意識下に刷り込むことにあります。この意識下に刷り込むとは、顧客の感情に訴求して記憶化させることを言います。
人の行動を支配する最大の要素は感情である点を理解し、段階的なを得るため日々の努力が必要です。特に怒り、悲しみ、怨みは後々まで強く影響します。
例えば商材が食物の場合は科学的に安全であると証明されても、証明そのものが誤用や誇張されることがあり、必ずしも消費者の安心と直結するわけではありません。安心とは信あってこそ、成り立つのです。信は商人に不可欠な最大の無形財産です。

意思決定の環境条件

商品を消費者自身が完全なる自由意思と環境条件下で決定した購入は満足度が高いものです。他人やお店から薦められたり、一方的な情報や情報量の少ない場面での購入は後々、商品への愛着を失い、使用頻度の減少や退蔵などで、後悔する場合が少なくありません。
これらの多くは真に納得していないからであって、商品自体に問題があるからではありませんが、商品本体よりお店で購入した体験記憶の方がトラウマとなって感情が先行する結果、自然と足が遠のく要因となります。
そのため、購入はお客様自身が考えて決断できるよう、情報提供や環境条件を整える必要があります。お店側のアドバイスも大切ですが、アドバイスの根拠となる情報源や情報を分かりやすく説明できるよう、日頃から知識の取得と努力が望まれます。

人的サービスの提供

一般的にネット通販は受注から配送、決済までの段階を効率的に人手をかけない省力化したシステムが最善と考えて構築しています。一方、コールセンターの設置などでお店とのコミュニケーションに不満を抱えるお客様も存在します。
メールの文字より電話の音声による情感は訴求力が強いことから、IP電話を利用し、商品説明や相談に力を入れるネットショップがあります。しかし、対面による接客応対は会話を通じてコミュニケーションを一段と深めることができるので、実店舗との連携が効果的です。
例えば、注文後の○時間経過後や翌日の○時以降に専用の窓口で受け取れる仕組みがあれば、担当者が常時必要になっても、送料や配送用の梱包が不要となり、その場で現品の確認ができるので、注文間違いや勘違いなどの不注意によるミスを避けることができ、苦情や再配送にかかる手間などを減少させることができます。
しかも、お客様の名前と住所、メルアド、電話番号などの個人情報が知られていることから警戒されることなく、会話を通じてお客様のニーズや嗜好、年齢層などの情報を入手できる利点もあります。
また、販売員のアドバイスや真摯な接客態度に加え、商品によっては色、柄、サイズを実感することで、満足度が高まる効果が期待できます。
「お似合いですよ」、「人気商品ですよ」、「お買い得ですよ」などの一言と笑顔を添え「○○様、ありがとうございました。またのご注文をお待ちしております」の言葉とお辞儀でクロージングすれば、満足感は一段と高揚し、リピターの可能性も高まります。このようにお客様を気持ちよくさせることは、商品のみならずお店の付加価値であると認識することが必要です。

客層のグループ分け

心理学の用語に自己成就的予言と言う概念があります。人は自分の信念や価値観に合致する情報や行為を意識的又は無意識に優先し、行動することで、結果的に自分の予言が期待どうりに出現されることを意味します。
このことはお客様を満足させ、リピーター化するための重要な概念となります。ここで言う客層とは、年齢層や性別、職業などの客観情報を指すものではなく、信念や価値観、期待感が一致するお客様を選抜し、グループ分けした層を言います。

お客様の購買理由

お客様が購買行動を起こす際は意識的か無意識を問わず、必ず購買行動に釣り合う見返りを期待します。お客様がモノやサービスを購入する動機には、次の5点を理解する必要がありますが、換言すれば「気分が良くなる」ことに尽きます。

  • 所有の満足
    自分の支配下に置き、モノが増えること自体に満足する

  • 効用の満足
    モノやサービスの利便性や使用効果に満足する

  • お金を支払う満足(買物依存症、浪費癖)
    お金を支払うこと自体に深く幸福感を感じて満足する

  • 言葉や態度による接客対応の満足
    心地よい言葉や態度に満足する

  • 表現できる満足(自然派化粧品、高級ブランド品、HV車など)
    使用することで、暗に自己の理念やステータスを表現できることに満足する

接客技術のポイント

店員の接客はお店自体の接客でもありますが、お客様は商品以外にも無意識の内に、次のような点を採点しています。そのため、接客技術の良し悪しはリピーターの歩留まりに大きく影響することになります。

  • 提案力-顧客に高度な商品知識を活用したアドバイスができる能力
  • 説得力-顧客の疑問や不安を解消できる能力
  • 対応力-顧客各人に臨機応変の気配りできる能力
  • 会話力-顧客各人と楽しく雑談できる能力
  • 誠実力-顧客の信頼感を醸成できる能力

だけの4法則

消費者は入手し難いモノを無意識に貴重品で価値があると認識しています。例え一時的にせよ入手の機会を制限し、意図的に希少性の原理を働かせることで、商品価値を高めるフレーズは理性的な判断を鈍らせ、”買えるうちに買わなきゃ損かも?”と焦らす心理状態に追い込むようです。
このような法則をデッドラインテクニックと言い、更に限定対象を組み合わせれば、感情訴求が効果的とされる女性層に販促効果が期待できます。ただし、ワケありの根拠が曖昧で頻繁になるとお店の信頼低下に直結しますので、濫用は禁物です。

  1. “だけの期間や日時に限定する
  2. ここ“だけの場所(お店)に限定する
  3. あなた“だけの対象者に限定する
  4. これ“だけの商品や数量に限定する

以上の4点のいくつかを組み合わせたマーケティングの応用例はタイムセールが代表的です。ネット通販のタイムセールはネットプライス、楽天、ニッセン、千趣会、アマゾンなどの企業が過剰在庫の処分やトレンド調査、メルマガ登録を目的とし、客層の生活様式を意識した時間帯別や曜日別に割引価格を設定しています。
外食産業が注目するスマートフォンの利用者を主対象とした時限クーポンは時間、枚数限定の割引率の高いタイムセールのアプリとして提供され、事前のクーポン購入は必要のない利点があります。
また、時限クーポンの発行店をスマートフォンのGPSを利用した位置情報を活用したクーポン配信サービスにイマナラがあります。

4Sの原則

  1. SSLの導入や荷造包装の”Securely“に配慮する
  2. 自動返信メールの導入やメール返信の応答、商品発送などを”Speedy“にする
  3. 平素から在庫管理に留意し、品切れが発生しないよう”Surely“にする
  4. 商品画像や取引手順を詳述することで”Smoothly“な取引を心がける

接客基本の用語と心と態度

実店舗では当然の接客の基本用語をネットショップだから関係ないと侮ってはならず、常にお客様に対する接客態度が最高のものとなるよう心構えを準備する必要があります。これらの用語は毎日唱和することで、自己意識に刷り込むことができます。

8大用語 オアシスの心 3Sの態度
いらっしゃいませ
はい、かしこまりました
少々お待ちくださいませ
失礼いたします
お待たせいたしました
申し訳ございません
恐れ入ります
ありがとうございます
陰様での報恩の心
りがとうの感謝の心
つ礼しますの謙虚の心
みませんの反省の心
Smileは緊張を溶かします
Sorryは素直さを表します
Sympathyは共感を生みます

「ありがとう」とは、あることが難しいを意味する「有り難う」と書きます。「感謝する」を単に「ありがとう」と訳する外国語とは、全く異なる日本語独特の言い回しです。
数あるお店の中から、当店にお越し頂くことは、有り得ないことと有り得ることの間に位置する有り難いこと、つまり、滅多にない有り難いことであるを意味します。
ご縁がなければ、有り得ないことですから、そのご縁に対する感謝の気持ちを表現する当然の礼儀なのです。言葉の表現は困難ですが、お客様の顔を見ない分、前後の文章で感謝の心情をお伝えすることが大切です。

  • ありがたく、お礼申し上げます
  • このたびは、当店をご利用いただき、誠にありがたきこと、厚くお礼申し上げます

などの表現や8大用語を機会あるごとにお客様とのメールや会話で使用します。そうすることで、お客様は実店舗同様の心を込めた誠実さを感じて頂けるようになります。

アフターフォローメールの継続的な発信で縁を結ぶ

サンキューメールの送信後はメールを利用したセールの案内に限られることが多いようです。これでは、セールが数ヶ月ないと、お客様とのご縁が途切れてしまいます。
例え、お買い物がなくても実店舗同様に挨拶は必要です。四季折々の挨拶や記念日にオリジナルのグリーティングカードを送ることで、ご縁を結ぶこともできます。
これらのサービスはマイミーオのフリー素材などがありますが、タイムリーで気の利いたカードは会員登録などで詳しい顧客情報を事前に収集分析する必要があります。

顧客対応は性差で異なることを理解する

一般に男性は論理的な説明や結論を求める傾向にあります。女性は対応の過程や状況を重視し、必ずしも結論を望んでいるわけではありません。
女性は対応の誠実さや熱心さと言う感情的な部分に敏感なので時間をかけての関係づくりが必要です。基本的に男性は論訴、女性には情訴が効果的と言われ、対象客層が女性の場合は画像、サイトイメージ、心地よいフレーズなどに配慮が必要です。

商品本体の説明より商品の有益性を強調する

商品を売る前にまず自分を売れとよく言われます。”売れ”は商品やお店の信用より、先ず個人的に好意を持ってもらうことを優先する意なので本末転倒です。
しかし、実態は自分が構築した人脈のネットワークがモノを言う取引が多く、組織の利益より個人の利益で左右される商慣習は厳然と存在しますので、個人利益の誘導や深入りは当然避けなければなりません。
一歩間違えば背任罪、贈賄罪、業務上横領罪などの刑事責任や民事の損害賠償などの対象となるからです。
大企業や有名企業では、商品や個人の他にも企業イメージや信用力などのブランドも販売力になります。企業ブランド力のない小規模店は自分の個性を生かした個人ブランドで売り込み努力をすることが不可欠です。
本来は自店の販売する商品がお客様にとっていかに有益であるかを説得すべきなのですが、残念なことに、単にいかに優れてるか、安くてお買得であるなどの商品本体に関する説明が多いのが実態です。
これでは自店の利益を優先していることがお客様に見透かされてしまいます。例えば、価格より効用を強調するなど、最初に商品のどの部分を強調すればお客様の利益になり、興味を持つかを見極めることが大切です。
ただし、これらは個別のお客様によって異なる場合がありますので、マニュアル的な言葉では効果のないこともあります。このような面からも、性癖や嗜好を事前に把握できる固定客の重要性がわかるかと思います。

  • 【一般例】産直で新鮮なこの○○はお値段も大変お買得になっています
  • 【強調例】この○○はビタミンCが特に豊富で疲労回復や美肌に効果があります

商品別に説明表示を替えてみる

例えば、成分や効能などの表示は強調表示と数値表示との併用が一般的ですが、同一内容であってもいずれかの一方に偏ることで印象が大きく違ってくることがあります。

  • 【強調表示】この商品の熱量は0(ゼロ)です。
  • 【数値表示】この商品の熱量は5Kcalです。

前者は後者に比べ信頼度が低い反面、理解のしやすさ、購入決断の後押しなどの点で優れ、消費者の評価も高い傾向にあります。これは感覚的な表現に納得しやすく、無機質な数値は感情に伝わりにくいからです。他に糖質0と糖類0の違いなどを利用した表示方法などがあります。

FAQ(Frequently Asked Question)コーナーの設置

お客様の目線で知りたい情報を質問前に提供するのが重要です。恥ずかしい、返事はあるだろうか、面倒など理由は様々です。質問や問合せが苦手な人は大勢います。
特に一見のお客様は質問する前に他サイトへ移動する傾向は強いものです。対策としてFAQコーナーをページに掲載するお店も多いのですが、これらの設置は問合せメールや説明不足に伴う苦情などの減少、情報の共有化に伴う業務軽減や信頼感向上に効果的です。
逆に、FAQが見にくい、分かりにくいと言うだけで、「あのお店はユーザーに優しくない」とか「誠実さを感じない」などの印象を持たれてしまう懸念が生じます。また、FAQを蓄積し、体系的に整理すると顧客対応マニュアルにも転用できますが、これらの充実は継続的な努力を要します。

ノウハウの取得

ネットショップの市場は全国が対象になると一般に言われますが、自店の地域性や信念に基づく商品、サービスを低費用で全国に発信できるだけなのです。ノウハウは同一業種、同業態だから日本全国どこでも同じというわけではありません。
歴史・文化・風俗慣習が異なる地域や時節、気候に大きく左右されます。実店舗での日々の観察から客層を分析し、天候や時間帯による陳列や価格変更は当然な業務とされます。自店の常識や都合を一方的に発信しても共感を得られないので、ノウハウの早期取得が必要です。そのため、先ずは記録することから始めます。

  1. 観察する
  2. 観察に基づき対象とする消費者ニーズの仮説を立てる
  3. 仮説に基づき法則性を発見する
  4. 法則性に基づき予想を立てる
  5. 予想に基づき実行する
  6. 実行結果に基づき予想との差異を分析する
  7. 分析結果に基づき修正する

以上の手順で繰り返し収集した法則を検証し、雛形化して初めてノウハウが確立します。ノウハウは基本であって不変の法則でないので、常に観察、推理、確認が必要です。観察は一定地点や時点に人の行動から共通する関連事項を発見することです。
繁華街で想定客層となる歩行者の服装、持ち物や週刊雑誌の見出しチェックもウォッチングです。ノウハウは自店が必要とする作業を効率的に構築する手順を定めた努力の結晶と言えるものです。
そのため、本の知識や講演会、各種経営情報、繁盛店などを参考にいくら真似しても長続きは難しいのです。


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