直接金融の概要

中小企業の資金調達は金融機関を介した間接金融が一般的ですが、厳しい金融環境下で選別融資が強まるなど、金融機関の融資姿勢が一段と厳しいことから、自力で株式や債権を発行し、投資家資金を直接集める直接金融が注目されています。
直接金融の環境整備が図られた商法改正の結果、企業が銀行を介さない資金調達が容易になり、中でも少人数私募債の活用を積極的に公的機関が推進するようになったことが影響し、今後は長期的な資金計画の中、多様な調達手法を確保しながらバランスのとれた財務構成が望まれます。
一方で、事業の安全性や収益性と別の問題があり、銀行の融資対象とならない場合や融資基準に適合しない案件が少なくない実態があることも要因となっています。

直接金融の目的

  • 創立後の業歴が浅く、事業実績も低調なので融資の対象とされない
  • 事業資金が少額であるため、銀行が融資に消極的である
  • 必要資金の全額が融資されず、多額の自己資金を必要とする
  • 毎月の元本返済がないので、営業キャッシュフローに余裕ができる
  • 建物は竣工するまで担保物件とならないので、建築資金の融資が受けられない
  • 地域密着型企業として、賛同者から小口資金を調達し、リレーションシップ・マーケティングに活用する

社債

社債には、普通社債・転換社債・新株引受権付社債の3種類があり、単に私募債という場合は50人未満の適格期間投資家を対象にした普通社債を指します。
ベンチャーキャピタルなどが転換社債やワラント債を引き受ける場合もあります。また、転換社債やワラント債は新株の発行を伴う資金調達法になります。

普通社債 企業が発行して投資家がこれを購入し、金利を付けて期限日に償還される
転換社債 保有者の社債を一定期間、一定条件で株式転換できる権利が付与される
新株引受権付社債 予め決められた一定の条件で新株引受権が付与される

転換社債とワラント債は転換権の行使前は貸借対照表負債の部に記される債務で、転換権が行使されると新株が発行され債務が消滅し、負債から資本へ転移します。

第三者割当増資

会社関係・取引先・グループ会社め従業員、友人、親戚などの縁故者に対し新株を発行し増資を行います。また、ベンチャーキャピタルが第三者割当増資を引き受けて増資をする場合もあります。

少人数私募債の発行

一般に中小企業の発行する社債は私募債で縁故者を中心とした特定少数の投資家がその発行総額を引受ける普通社債を指しますが、50人以上の不特定多数の投資家を募集する通常の社債に比べ、財務省の届出などが不要で簡便な手続きが特徴です。
ただし、資金を必要とする事業計画に魅力がなければ、社債発行はできませんので、経営内容の開示や計画内容を説明し、一般の購入対象者が納得して賛同を得られるよう、共感できる事業計画の策定が必要です。
なお、少人数私募債を発行できない法人や個人企業が擬似的に発行する債券を擬似私募債と呼びます。この場合は社債と命名できないので、親しみやすい○債と称し、身近な人に出資を求めます。法的には、通常の金銭消費貸借契約と同じで、○債が借用証に相当します。

  • 少人数私募債は株式会社が発行できる縁故者50名未満、50口未満の社債です
  • 1口の最低発行価格は発行総額を49で除した額に設定する必要がある
  • 1口の最低発行価格が高額の場合は数人の共同所有者として引き受けできる
  • 1口の最低発行額は同額か又は最低発行額の整数倍の金額である必要がある
  • 発行後は社債という勘定科目で貸借対照表の固定負債欄に表記されます

社債発行者の利点

  • 月々の返済が不要で社債の償還期限日に一括返済できる通例の償還期間は3~5年です。
  • 利息の支払いは年に1回又は2回が一般的です。(通例の多くは利息2~3%)
    なお、少人数私募債の利率設定は「銀行融資利率プラスα」とお考えください。
  • 償還期間が長期であるのにも係わらず、保証人や担保を必要とされない
  • 社債発行できる会社として金融機関や取引先などへの対外的な信用が高まる

社債で調達した資金は通常3年~5年の間、長期安定資金として事業に投入できます。少人数私募債は会社と縁ある個人や法人が社債を引き受けるのが一般的です。重要な点は日常的な地縁、血縁、仕事面の人脈などで縁者に理解と支援が得られるかどうかにあります。
全国商工会連合会の中小企業のための直接金融による資金調達マニュアルも参考になります。社債の償還期間に制限はありませんが、1年では意味がありません。1年以内の短期資金は返済期日に一括返済する低利の公的融資制度があるので、そちらの利用が簡便です。

社債権者の利点

  • 社債権者が個人の場合、利子所得である社債利息に対する20.315%の税金は源泉徴収の分離課税です。所得税の適用税率が20.315%を超える個人の方は分離課税が有利です。
  • 金融商品はローリスクローリターンやハイリスクハイリターンが多い中、縁故のある会社であるために実態が分かりやすく、通常預金利息の数十倍のリターンが期待できます。
  • 会社の商品や社員を支援したいという気持ちが社債引受けで具体化します。

少人数私募債の発行方法

発行手続きや事例、書式などは長野県中小企業振興公社の直接金融時代の資金調達が役立つと思います。少人数私募債のメリットを集約すると以下のとおりです。

  1. 募集総額が1億円未満であれば有価証券届出書や有価証券通知書が不要ですが、譲渡制限と勧誘者に対する告知義務があります。そのため、1億円未満での募集発行が現実的です。
  2. 社債は原則的に5億円未満で担保が不要とされています。金融機関からの長期借入は担保が必要とされるので、この担保不要は大きな魅力です。また、保証協会などの保証も必要としないので、保証料や抵当権設定料の経費も不要です。
  3. 期限一括償還なので、その間は自由に利用でき、毎月の返済資金を用意する必要がありません。その結果、キャッシュフローにも有利となります。償還不能の懼れがある場合は社債権者に再度の社債引き受けを依頼することで繰り延べが可能です。
  4. 社債の発行会社として信用力が向上します。社債権者が知名度ある企業であれば、親近感を醸成し、信用や推薦を得たのと同様の効果があります。取引先が社債権者であれば、日常的な取引の中で円滑な協力関係を構築することができます。社員が社債権者になれば、一体感が強まり、モチベーションや責任感を高めることができます。
  5. 社債利息の支払は年1~2回が一般的ですが、この社債利息は損金に算入できます。
  6. 社債権者は株主のような議決権がなく、総会に相当するような会議なども不要です。この場合は経営情報を積極的に公開することで、社債権者の信頼を得ておくのが望ましい。
  7. 社債管理会社の指定や社債券などの発行が不要なので、管理面での経費節減が期待できます。ただし、社債預り証の発行や社債台帳を作成し、管理する必要があります。

少人数私募債の発行手順

  1. 事業計画・社債発行条件の決定
  2. 社債発行(資金調達)の目的を明確にし、事業計画書を作成します。
    事業計画書ができましたら、社債の募集額や募集期間、償還期限、利率などを決定します。

  3. 取締役会等の決議
  4. 社債を発行するには、取締役会等の決議が必要です。
    取締役会等で決議した内容は「議事録」を作成し、記録します。

  5. 募集要項・社債申込証の作成
  6. 社債の募集額、償還期限、利率などを記載した「社債募集要項」と「社債申込証」を作成します。「社債申込証」には商法で規定する事項を記載するほか、共同購入できることや応募額が募集額に満たなかった場合でも有効に社債を発行する旨の記載をしておくと便利です。
    ■呼掛けに制限はありませんが、「社債申込証」を渡すと募集行為となるので、50人未満に留めます。
    ■社債発行の目的や理由を文書にした「社債発行趣旨書」を作成することもあります。

  7. 社債引受者の募集
  8. 募集要項、社債申込証などを縁故者に配布して、社債の引受者を募集します。

  9. 社債申込証の受領・審査
  10. 社債申込証による申込みがあったら、申込者の適格審査、申込金額を確認します。

  11. 募集決定通知書の送付
  12. 申込者と金額を確定したら、その旨を「募集決定通知書」により申込者に通知し、払込むべき金額と払込期日、払込方法を案内します。

  13. 社債預り証の発行
  14. 「申込金の領収証」と「社債の証書」を兼ねる「社債預り証」を発行します。「社債預り証」の作成は所定の印紙税が必要です。
    ■社債券を作成する場合には、申込金の払込みがあった後に所定の事項を記載した社債券を交付します。社債券の作成は所定の印紙税が必要ですが、社債券の発行を省略することもできます。

  15. 社債管理台帳の作成
  16. 社債を発行したときは、台帳が必要ですが、社債台帳はパソコンによる作成、管理も認められます。

その他の資金調達

ひろしまベンチャー育成基金

平成15年4月に設立した産学官共同のベンチャー支援財団のひろしまベンチャー育成基金は創業前または創業間もない個人・法人への助成金事業などを通じて、ベンチャー企業を発掘・育成・支援しています。

中小企業投資育成株式会社の活用

中小企業投資育成株式会社とは、中小企業投資育成会社法に基づき中小企業に対する投資などの事業を目的とする東京、大阪、名古屋に設立された特殊法人です。
事業計画の妥当性が認められ、且つその企業が将来の発展が見込まれるなどの一定基準に該当する企業に対し、出資や社債の引受などの投資事業と投資先に対する経営全般のアドバイスなどの育成事業をしています。
ハードルは高いのですが、会社を公開したいなどの積極的な意欲がある場合は早い段階から投資育成会社と接触をもっておくことをお勧めします。
これらの投資育成会社から投資を受けた会社は将来性があるとのお墨付きを得たのと同効果がありますので、一般金融機関での信用力がアップし、資金調達が有利となる利点もあります。

ソーシャルレンディング

資金調達には、公的機関の助成金やプロパー融資などが望ましいのですが、融資条件に該当しない、希望額に達しない、適当な保証人がいないなどの理由で、やむなく高利の事業ローンを利用する場合もあります。
このような場合はSNSのような登録会員グループ内で匿名組合員であるレンダーボロワーをインターネットで仲介するソーシャルレンディングサービスを利用する方法があります。
借り手はmaneoなどのサービス代行業者に会員登録し、希望額と金利、期間の条件や使途などをウェブから申告する必要がありますが、中間業者が介在しないので、有利な利率で出資を受けられる利点があります。
借り手からの利息金は毎月、貸し手に分配されますが、これらの案件は入札方式で貸し手を募集するので、内容に不審な点があれば、貸し手が付かないこともあります。

マイクロファンド

小口の出資者を募集し、匿名組合を介し事業資金を調達するサービスを提供するセキュリテはファンドの募集にあたり、事業性と共感性の観点から判断し、ヒアリングを行い秘密保持契約の締結のうえ、出資します。
ソーシャルレンディングと同様に匿名組合の利益配当金は雑所得に該当し、20.42%が源泉徴収されますが、匿名組合契約の中途解約はできませんし、契約期間内に計画売上額が達成できないと投資元本を取り戻せないリスクがある反面、ものがもらえる特典もあります。
広島県ではサゴタニ牛乳の砂谷牛乳ヨーグルトファンドが5年、3万円/口、450口を募集し、知名度やパブリシティ広告の効果もあって即日完売の人気ぶりです。

クラウドファンデング

日本初のクラウドファンデングであるREADYFOR?は夢を持つすべての人が集まり、特に公益性、社会性の高いプロジェクトや斬新で創造的なプロジェクトに取り組む実行者などが夢を実現する資金を集めています。
プロジェクトに共感した支援者は支援金額に応じた引換券を選択することで、支援できますが、各プロジェクトは目標金額と募集期間を事前に設定しており、その期間中に目標金額を集めきれた場合のみ、プロジェクトは「成立」し、資金がプロジェクト実行者に提供されます。
「成立」しなかった場合は支援者に全額が返金され、成立した場合は引換券に記載された内容をリターンとして、受け取ることができます。


■平成30年版カレンダー

2018年6月
     
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

■サイト内検索

■記事講読ランキング

■統計情報サイト

都道府県別統計
世界経済のネタ帳
■地方情報
地方公共団体情報システム機構
中国地域の中小企業支援施策
■ビジネス支援情報
exBuzzwords
ネット通販の構築支援別館
無料ビジネス相談会
1.対象者
☆起業をお考えの方
☆起業後間もない方
2.場所
広島市立中央図書館
3.開催日
☆毎月第2土曜12:00~17:00
4.1時間以内の予約制
☆先着順5名
5.申込先
中央図書館事業課
☆Tel:082-222-5542

■中小企業ビジネス支援サイト


Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.