ネットショップの売買契約

通常の売買契約は売買意思の合致が確認できた時点で成立し、商品の引渡しや代金の受け取り時点ではないことを最初に理解する必要があります。
ネットショップの場合、購入希望者が買い物かごなどに設置されたウェブメールで商品を注文します。これに対しショップ側は内容の確認メールを返信しますが、通常は返信に自動返信機能を利用し、この自動返信メールが購入希望者側へ到達した時点で売買契約が成立します。
ウェブサイトの誤記表示は民法の「錯誤による契約の無効」に該当する場合があります。これは重大な過失がない場合のみに適用される条文です。
一般に価格の誤表示は重大な過失とされ、反論はできないことになります。お詫びメールや代替サービスなどの提供で注文を取り下げて頂くケースが多いようですが、これは購入希望者側の善意によるもので、法的に全く容認できないことです。
例えば、買い物かごの画面上に「注文承りました」と表示した場合、お店側が明白に「承諾の意思表示」を行ったとされますので、「ご注文ありがとうございます」、「自動返信メールを送信しておりますので、ご確認ください」などにするべきでしょう。
自動返信メールに次のような条件を付した場合は「承諾の意思表示」を行ったとは言えないことが明白です。つまり、確かにご注文メールを受信しましたが、正式に承諾したわけではない旨の一文を明示することで、トラブルを回避できるわけです。

  • 本メールは受信確認用です。商品在庫の確認後、改めて受注承諾をお知らせします。
  • 発送をお知らせするメールの送信をもって受注承諾のお知らせとさせていただきます。

未成年者の契約

例外もありますが、未成年者であるという理由で商品発送後の取消しを回避するには、注文フォームに入力必須の年齢欄を設けることをお薦めします。この場合、年齢を偽った契約は民法第21条により取り消しができなくなります。
注文画面に「未成年者のご注文は親権者の同意が必要です」の旨を明記することも必要です。これはトラブル未然防止の一策ではありますが、実際に法律論を根拠に無理強いすることは厳に慎むべきでしょう。

特定商取引法

取引の各場面は民法・商法・税法・著作権法などに加え各業種関連法のチェックが必要です。ネットショップの開業に関する法律に特定商取引に関する法律があります。
ウェブサイトで物品の販売やサービスなどを継続的に提供する経済行為は通信販売とされ、販売者がネットでの受注を広告で表示し、消費者がその表示に従って購入の申し込みをする仕組みです。
インターネットを利用した通信販売やネットオークションの出品は一定の規制があります。この規制は事業者に対するもので、特定商取引法は通信販売についての広告を事業者の表示義務として定めています。
通信販売は多様な広告媒体を利用するので、広告に表示すべ事項の全て表示することは実態にそぐわない面があります。そのため、消費者の請求に応じ、これらの事項を記載した書面を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際の請求があった場合に「遅滞なく」提供できる措置を講じる場合は表示事項の一部を省略できます。
「遅滞なく」提供するとは、販売方法、申し込みの有効期限などの取引実態に即し、申し込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることを言います。
個人であっても要件を満たせば、特定商取引法上の「事業者」に該当します。「事業者」とは、販売又は役務の提供を業として営む者の意で「業として営む」は営利の意思をもって、反復継続して取引を行うことが常態であることを言います。
営利意思の有無はその者の意思に関係なく客観的に判断されるため、個人間取引のネットオークションは特定商取引法が適用されませんが、出品者が事業者に該当する要件は一定期間内における落札額や出品数などの基準を定めた「インターネット・オークションにおける販売業者に係るガイドライン」に記載されています。出品者が販売業者に該当するかどうかは、例示以外にも個別事案ごとに客観的に判断されます。

適用される販売形態と規制内容

訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売という3つの販売形態が適用の対象とされ、この法律によって、それぞれの販売形態が定義されます。
通信販売は「郵便その他の通商産業省令で定める方法により販売が行われる場合」と規定されるため、マスメディアの広告を見た消費者が郵便や電話、インターネットなどの通信手段を利用し、購入の申込みをする行為は通信販売になります。施行規則第2条では、次のように定めています。

  1. 郵便
  2. 電話やFAX、その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法
  3. 電報
  4. 預金又は貯金の口座に対する払込み

この内「情報処理の用に供する機器」はパソコンなどを指します。また、「情報処理の用に供する機器を利用する方法」がインターネットを利用した販売になります。

特定商取引法が適用される商品等の内容

インターネットを利用した商品などの販売は通信販売に該当し、全ての商品と役務が法律の規制対象となります。例外は次のような訪問販売や電話勧誘販売のクーリング・オフなどに馴染まない場合だけです。

  • 契約を結ぶとすぐに役務の全体が提供される場合(飲食店など)
  • 法律で供給義務が課せられ、クーリング・オフ期間の経過を待てない役務提供の場合(葬儀など)
  • 契約までにある程度の期間がかかる場合(自動車など)
  • 消耗品の場合(化粧品・健康食品等)
  • 数日で商品価値が著しく損なわれる場合(生鮮食料品など)
  • 現金取引で3000円に満たない場合

広告する場合に表示が要求される事項

法第11条の規定に従って、広告を行う場合は一定事項を表示しなければなりません。この一定事項の表示義務は広告を行う場合に課せられる義務です。この広告とは、通信販売に該当するインターネット販売の「販売条件などの広告」を指します。
単純な販売業者の商品広告の場合は該当せず、サイトで商品やサービスを紹介し、ネット経由で申込みを受けるものが「通信販売広告」に該当します。
ネットショップの開業やバーチャル・モールへの出店などは通信販売広告に該当しますが、この場合も表示すべき事項の全てをトップページに表示する必要はありません。
ただし、表示の義務事項をリンクで別画面に表示することを目的にトップベージの片隅に小さなクリックボタンなどを設置し、殆ど大部分の消費者が気づかないサイト構成は表示の義務を果たしたことになりません。

表示事項

法第11条で定める表示事項

  1. 販売価格又は役務の対価、送料についても表示が必要
  2. 代金又は対価の支払い時期、方法
  3. 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
  4. 商品の引渡し後におけるその引取り(返還)についての特約に関する事項
  5. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
  6. 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者
  7. 申し込みの有効期限があるときは、その期限
  8. 販売価格、送料以外に購入者が負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額
  9. 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任に定めがあるときは、その内容
  10. いわゆるソフトウェアに関する取引である場合は、そのソフトウェアの動作環境
  11. 商品の販売数量の制限等、特別な、販売条件があるときは、その内容
  12. 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときは、その金額
  13. 電子メールによる商業広告を送る場合は、事業者の電子メールアドレス

これらの各表示事項についての詳細な説明は通信販売広告についての解説社団法人日本通信販売協会のガイドラインが参考になります。

返品特約について

通信販売はクーリングオフ制度がありませんが、返品の可否・条件・送料の負担などに関する特約表示がない場合は8日間、消費者の送料負担で返品や契約の解除が可能です。返品不可の表示があっても商品に欠陥があったり、広告と異なれば返品や交換の要求ができます。
これらの返品特約は「返品の可否」、「返品の期間等条件」、「返品に係る費用負担の有無」に係る事項の省略が認められないことから、「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」を参考に表示の工夫を求めており、インターネット通販の場合は消費者が最終的に申込む画面にも表示するよう求めています。

誇大広告の禁止

商品の性能や効能、又は表示義務のある事項に「著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると誤認させる表示をしてはならない」と規定してます。(第12条)
これは虚偽・誇大広告を禁じたもので、著しい虚偽・誇大広告のみならず、顧客誘引のために行われる程度の誇張、駆け引きを超える表示も許されません。違反行為は1年以内の期間を限り業務の全部又は一部の停止を命ぜられます。(第15条)

承諾などの通知

インターネットの商品売買は代金後払方式が一般的ですが、法第13条は代金前払方式の通信販売について承諾などの通知義務を規定しています。
代金前払方式の通信販売を行う場合は購買者から売買契約の申込みを受け、更に代金の全部又は一部を受領したときは、遅滞なく書面で通知する義務があります。この場合、購買者の同意を得ればメールなどの電子手段で通知できます。
ただし、代金の全部又は一部を受領した後は遅滞なく商品を送付し、権利を移転し又は役務を提供した場合は書面による通知を必要としません。ここでの遅滞なくとは、1週間程度とされます。
事業者に前受金の保全義務は課せられませんが、前払式通販は十分な注意が必要です。なお、通知書は次の事項を記載した書面交付を要します。

  1. 申し込みの承諾の有無不承諾のときはすぐに返金することと、その方法を明示しなければならない
  2. 代金(対価)の受け取り前に申し込みの承諾の有無を通知しているときには、その旨
  3. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
  4. 受領した金銭の額(それ以前にも金銭を受け取っているときには、その合計額)
  5. 当該金銭を受け取った年月日
  6. 申し込みを受けた商品とその数量(権利、役務の種類)
  7. 承諾するときには、商品の引渡時期(期間又は期限を明らかにすることにより行わなければならない)

インターネット通販に関する規制

通信販売は顧客の意に反して契約の申込みをさせる行為を同規則第16条によって禁止しています。インターネット通販は次のような表示や措置を義務付けています。

  • あるボタンをクリックすると、それが有料の申込みであることが消費者に容易に認識できるよう表示していること
  • 申込みする場合、消費者が申込み内容を容易に確認し、かつ訂正できるよう措置すること

経済産業省は具体的にどのようなケースがこれに該当するのかを「インターネット通販における意に反して契約の申込みをさせようとする行為に係るガイドライン」として公表してますので、商品の選択や注文画面を設置する場合の参考にご利用ください。

特定商取引法における消費者の申出制度

特定商取引の公正と消費者利益が害される懸念がある場合、法第60条に基づき経済産業大臣に適当な措置をとるべきことを求めることができます。
この申出制度は申出者の抱える個別のトラブルを解決することを目的としたものではありませんが、行政措置の発動を促し、消費者と行政が一体となった公正取引の確立と消費者保護を目的とする制度です。

  • 申出する場合は必要な事柄を記入した申出書を作成し、通信販売については経済産業省消費経済対策課又は近くの経済産業局特定商取引法担当課へ提出するか、消費生活センターにご相談ください。
  • 経済産業大臣は申出書を受け取った後必要な調査を行い、申出書に書かれた通りの事実があったか等について、関係者から事情を聞いたり、情報の収集をします。

経済産業大臣は必要に応じて、事業者に対して報告書を提出させたり、調査を行います。必要な場合は指定法人の財団法人日本産業協会へ調査を依頼できます。状況を改善する必要がある場合は事業者に対して行政指導や行政処分などを行います。

指示(法第14条)

同法11条、12条の2及び13条の1に違反する販売者がいる場合、経済産業大臣はその販売業者に対して必要な措置をとるよう指示することができます。本条の規定に違反し、指示に従わない場合は100万円以下の罰金が科せられます。(第72条)

業務の停止等(法第15条)

販売者が同法11条、12条の2及び13条の1に違反し、消費者利益が著しく害される懸念がある、又は前条の指示に従わない場合、経済産業は1年以内に限り、業者に対して業務の停止を命ずることができます。この命令に違反した場合は300万円以下の罰金又は2年以下の懲役、又はその併科が科せられます。(第70条)


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